「月次が遅い」とのご相談をよく受けます。
遅い理由は簡単で、必要な情報が経理に集まらないからです。情報が集まっているのに、処理が追い付かないのであれば、解決は簡単ですが、大抵そんなことはありません。どこかで目詰まりをおこしています。
適切に経理に情報が集まる仕組み作りは時間が掛かります。すぐには解決しません。
しかし、社長さまとしては、すぐに先月の数字を確認して、今月の対策に落とし込みたいはずです。
ですので、とりあえず概算で大勢を固める事をおススメしています。
税理士として、申告書を作る上では1円でも違うと困るのですが、経営者としては素早く、方向性を判断する材料が必要です。
申告書のための月次決算ではなく、経営判断に効く月次決算のお話です。
売り、買い、人件費、以上!
売上と原価、それに人件費がおおよそ固まれば、大勢の数字は確認できます。 あとは普段にない特別な出費、買い物の金額を把握しておけば良いでしょう。
家賃や減価償却費なども重要な数字ではありますが、これらは基本、変動しない金額なので、問題にはなりません。
その他の経費もありますが、特別な出費以外は大きく変動することは少ないので、時間がなければ、先月と同額と考えておけばよいと思います。
あくまで、速報性を重視して、素早く経営者に方向性を報告するという意味では、この程度で大勢は見えます。
そうは言っても、適当で良いという話ではありません。
経理担当者の方はまじめな方が多く、社長には、タテヨコナナメ、1円たりとも違わずに数字を固めてから出ないと報告できない、と考えられている方が多いように思います。
せっかく、毎月、月次決算を締めているのに、翌月の経営判断に間に合わないようでしたら、非常にもったいないと思います。ある程度のブレを前提として、速報性を重視してみてはいかがでしょうか?
そうは言っても、そのまま概算で放置して良いわけではありません。月の頭で速報値を社長に報告して、月の中頃までには概算値を精査して、正しい数字に修正する必要があります。
概算と正しい数字で、最初はブレが大きくなるかもしれませんが、半年もやれば、大概はブレが収まってきます。
ただし、前年、前々年の月の数字の推移が取れないと、難しいこともあります。
最終的には、1年間の決算を締めて、税務申告書を作成します。税務申告書を作成する上では、1円でも違ってしまっていると、作成できません。ですので、最終的は1円単位で決算数値を合わせますが、その途中経過の月次決算では、素早く大勢を把握するために、速報性を重視した方が効果が出ます。
根本的な問題は、情報が集まらない
概算で速報性を重視するといっても、概算値を確定値に修正する手間が発生します。手間をかけてでも、月次決算の速報性は経営に効く数字です。
しかし、やり方を気を付けないと、経理の手間ばかり増えて、かえって逆効果になります。
根本的に経理が遅いのは、情報が経理に集まらないからです。
経理の仕事は一番最後です。
営業して、仕事を取ってきて、代金が入金になって、金額をチェックして、最後に経理が帳簿の処理を行います。この一連の流れの中で、どこかで情報が目詰まりしますと、処理すべき情報が経理まで流れてきませんので、処理できません。
・営業から請求書が上がってこないので、売上がわからない
・取引先から入金があるのだけれども、何の分の入金かわからない
・仕入先から支払いの催促があったのに、請求書が経理にない
よく聞く話ですが、経理が遅い理由はこんなところにあります。
これを改善するには、全社的に動き方を検討する必要があるので、すぐには解決しません。時間が掛かります。この話は別の機会でお話しようかと思います。
月次の速報性について、気になる方は、お気軽にお問合せフォームからどうぞ!
「うちは経理を税理士に投げてるよ!」
そんな方はきっちりキャッチしますので、お気軽にお問合せフォームからどうぞ!