税理士会主催の確定申告無料相談会の相談員に参加してきました。
どんな方が来るのか、最初は少し緊張していましたが、無事に相談員を務めてきました。
ほとんどの方が、年金と医療費控除で還付になる方でしたが、中には起業したての方もいらっしゃいました。
ご自身で決算書を作成して、チェックしてほしいとの相談でしたが、なかなか衝撃的でした。
経理処理をするにあたり、抑えておくべきポイントがすべて漏れていました。
起業して間もない頃は、何かと忙しく、経理のポイントなど後回しになるのは分かります。
しかし、「知らなかった」では税務署は許してくれません。
個人事業主として最低限、抑えておきたい経理のポイントをご紹介します。
青色申告の届出は即刻出すべし!
青色申告とは、帳簿や請求書・領収証などの書類を適切に保管することを要件に、税務上のさまざま恩典を受けられる制度で、青色申告を行うには、青色申告承認申請書を提出する必要があります。
青色申告のメリット
①青色申告特別控除・・・最高65万円の所得控除、利益を65万円減らせるので節税効果大
②青色事業専従者給与・・家族に給与支払って、経費にできる
③貸倒引当金・・・・・・期末の売掛金の5.5%の貸倒引当金を計上できる、経費を増やして、利益を圧縮できる。
④純損失の繰越・・・・・今年赤字で翌年黒字の場合、黒字と赤字を相殺して、利益を圧縮できる。赤字の有効期間は3年
⑤特別償却等・・・・・・設備などを購入した場合、一定の場合に大きく計上することができる。
即、申請書を提出することをおススメします。
メリットの大きい青色申告ですが、申請書の提出期限厳しくて開業の日から2カ月以内です。この期間を過ぎてしまうと、青色申告の適用は翌年からになってしまいます。1年間損します。
起業したら即、青色申告承認申請書を提出することをおススメしています。
デメリットと言えるようなものは、ありません。
売上・仕入は請求書ベースで集計すべし!
(問題)
9月に納品して、9月末に10万円の請求書を得意先に渡しました。その10万円が11月15日に入金されました。この10万円は何月の売上になるでしょうか?
(答え)
9月の売上です。
請求書の発行ベースで集計する
お金が入ってきていないのに、売上になるの?
少し不思議に思うかもしれませんが、これは会計のルールで「発生主義」と呼ばれています。
請求書が発生した時点で売上を集計します。小規模事業者(所得金額300万円以下)の場合、届出書を提出すれば、入金日に売上の計上(現金主義の特例)が認められますが、青色申告特別控除の65万円が使えなくなるため、デメリットが大きいです。
仕入も同様で、お金を支払った日ではなく、請求書を受け取った日の経費とします。
在庫の計上をすべし!
在庫とは
税務調査で真っ先に見られます。購入したけど、今年中に売れなかったもの、使わなかったモノは在庫になり、今年の経費にはなりません。
翌年に売れたり、使用したりした時に経費になります。
買った時にすべてが経費になると、年末に利益の状況を見て、来年必要になるものを今年中に購入して、経費を増大させたくもなりますが、それは在庫になり今年の経費にはなりません。
すぐに必要にならないものは買わない
これは非常に面倒で、年末に何個モノが残っているか、数える必要があります。
年末に棚卸をする必要があります。
年末の忙しい時期に、こんな手間が必要なんてありえない!
気持ちは分かります。
一番良いのは。すぐに使わないものは買わない事。
必要な分を必要な時に購入すれば、年末数える必要はなくなりますし、何より、資金繰りが良くなります。
自宅事務所の費用を計上すべし!
自宅の一部を経費化する
自宅の一部屋を事務所として使用している場合、その使用している部分の支出を経費として、計上できます。
例えば、床面積の20%を事務所として使用している場合、自宅に請求された電気代の20%を事業経費として計上できます。
自宅が賃貸であれば、床面積割で家賃も経費化できます。
自宅が持ち家の場合には、事務所使用している部分の減価償却費の計上ができます。
この床面積を検討するにあたり、使用している部屋そのものだけではなく、玄関やトイレの面積も按分して、事業用にしても良いかと思われます。
玄関やトイレの無い事務所では機能しませんので床面積への算入を検討できます。
まとめ
希望に燃えて事業を始めてみたものの、細かい事務作業も自分でやらなくてはなりません。
法律で決まっている以上、知らなかったでは済まされません。
まだまだ沢山のポイントがあるのですが、最低限、知っておいてほしいポイントをまとめました。
会計とか、税務の世界は複雑です。それでも事業を始める以上は、全く避けては通れません。
税務署は真面目な納税者の味方です。
分からないことはタダで教えてくれますので、積極的に活用してみるのもありだと思います。
どうしても税務署に抵抗がある方は、最初の一年は税理士に依頼してみても良いかもしれません。
最初のセットアップを固めて、翌年以降はルーティンで回せば、費用も抑えられます。