とある会合で、独立開業を考えてる方から、
「税理士って、どうやって選べば良いんですか?」と聞かれ、即答できませんでした。
タコ壺化しているというか、自分で自分の仕事をよくわかっていないと言うか、反省した次第です。
税理士の仕事は、世の中の大半を占めるサラリーマンの方とは、ほとんど接点がありません。
最近は副業や不動産投資などが盛んになって、少し接点が増えてきましたが、それもまだまだ、少数です。
これからサラリーマンを辞めて、独立する方も「税理士」という名称は知っていたとしても、何をしてくれる人か、何を基準に選べばよいか、分からないのは当然です。
そこで、あくまで私見ですが、税理士の選び方を解説します。
出来るだけ会ってみる
フィーリングは大事です。
実際に会ってみて「感じがよさそう」「気が合いそう」ならば、話を進めてみると良いでしょう。
手間はかかりますが、一番大事なお金の相談をする相手なので、電話とか、メールでの問い合わせで済ますのでは無く、実際に1時間ぐらい話をしてみて、「相性」が良さそうか確認してみてください。
「この人、話し易いな」と思えれば良いと思います。
残念ながら、いまだに先生面で横柄な態度の税理士もいます。HPは綺麗でもそこは実際にあってみないと分かりません。
業界にいついて、質問してみる
税理士はすべての業界について、精通しているわけではありません。得意不得意があります。
例えば、小売業で起業を考えているのであれば、「小売業の資金繰りのポイントは?」「小売業の経理において、注意すべきポイントは?」など、質問してみてください。
得意な業種であれば、いろいろと答えてくれます。
仮に不得意な業種であっても、税理士にやる気があれば、逆に質問されます。税理士がその業界を研究する気があって、一緒に悩んでくれるのであれば、現時点で不得意であっても先はあると思います。
何も答えず、質問も返さず、話をそらすようであれば、避けたほうが無難です。
数は多くはありませんが、業種特化型の税理士もいます。「パン屋専門税理士」とか、「医師専門税理士」とかです。
業界に精通しているので、業界特有の事情なんかも考慮してのアドバイスが期待できます。
注意点として、専門特化ですから、その専門から少しでもはみ出ると、対応が苦しくなるケースがありました。会社と個人の税金を総合的なアドバイスなどは難しい場合があります。
業界に特化しているが故に、業界の悪い習慣を押し付けられたなどの相談も過去にありました。
ケースバイケースになりますので、よく質問してみると良いかと思います。
IT関連に明るい
IT関連に精通しているとまでは言いませんが、ある程度、IT関連に明るいことは必須です。
税理士業界は古い体質がかなり残っており、FAXが大好きです。
クライアントからのeメールを印刷して、手書きでコメントを入れて、FAXで返信したりとか、クライアントがエクセルで作成した集計表を印刷してFAX、電卓をたたいて集計したりとか、考えられない行動をする人を何も見てきました。
「クライアントがエクセルで作成した集計表をeメールで送ってもらい、関数を使用して集計する」
これが全くできない人は大勢います。
便利な道具は沢山ありますし、さらにこれから、どんどん増えていきます。
全てに精通することは難しいかもしれませんが、ある程度は使いこなせないと、作業時間が減らず、事務の手間ばかりかかります。
クライアントの方がIT関連を不得意とされていたとしても、税理士が「売上の集計は、このエクセルシートに金額と日付を入力して下さい。あとはこちらで集計します。」ぐらいの話ができないと、作業の効率化は図れません。
本来は集計した数字を基に、今後の問題についてのアドバイスに時間を掛けなければなりません。
作業にばかり時間が掛かり、アドバイスが疎かになると本末転倒です。
価格は妥当か
格安税理士を標榜する事務所はあります。
売上規模と業務を細かく区切って金額を決めるパターンが大半ですが、しかし、良く見るとあまり安くないケースも見られます。
昔は税理士会で業務ごとに報酬を定めており、全国一律だったのですが、その一律報酬は廃止になっています。
しかし、概ねの報酬の相場感はあります。ホームページをよく比較してみてください。そんなに変わらないと思います。
年間数万円の違いにこだわるよりも、実際に会ってみて、相性を重視した方が仕事は快適になります。
どこに重点を置くかの問題で、報酬金額に重点を置くのであれば、どこまでご自身で作業して、どこからを税理士に任せるか、その線引きをはっきりすると良いと思います。
全部税理士に丸投げするのか、領収証の整理を自分で行ってから税理士に引き渡すのか、作業を線引きして価格交渉をすると良いと思います。
始めから長期の契約は避ける
動きの速い世の中です。やるのか、やらないのか、躊躇しているなら、まずはやってみて、ダメそうなら素早く撤退する必要が有ります。
税理士選びも同じで、相性が良さそうだと思ってはじめて見たけど、始めてみたらイマイチだった。
そんなことも起こり得ます。ある程度付き合ってみないと、相性の良し悪しが分からないこともあります。
ですので、まずは最初の税務申告まで期間で契約して、その後どうするか、一旦点検してみると良いと思います。
逆に、そう言われると税理士として気合が入ります!!
最初から、複数年契約を求められる場合は、避けた方が無難かと思います。