社長が見るべき数字 PL(損益計算書)の見方

会社の数字

今月、うちの会社は儲かっているのかな?会社の儲けを計算するのがPL(損益計算書)です。

PLは売上から経費を差し引いて、儲け(利益)を計算します。儲け(利益)の計算は段階的に行われ、売上から仕入を引いて、売上総利益(粗利)、売上総利益から販売費及び一般管理費(固定費)を差し引いて、営業利益となります。

各段階ごとにそれぞれ意味はあります。細かく分析することも必要ですが、細かく見るには、会計の知識も時間も必要です

そこで、会計が良くわからなくても、時間がなくても、必ず毎月、社長の頭に入れておいてほしい数字をザックリご説明します。

①損益計算書の頭(売上)と尻(当期純利益)の額で、会社の方向性を確認する。

②売上総利益率(粗利率)で、会社が提供している価値にブレがないか確認する。

③減価償却費を戻して、今月自由になる現金の目安を確認する。

頭と尻を抑えるべし 「売上」と「税引き前当期純利益」

 頭とは売上、尻とは税引き前当期純利益の事です。

PLは「売上」から始まります。売上から各種の経費を差し引いて利益を計算します。

社長の頭の中にある「今月の売上はこれぐらい」とおおむね一致していますか?

一致していれば問題ないのですが、一致していなければ、請求漏れ、請求金額の間違い、今月中に納品して請求するはずだったのに、トラブルで納品できず請求できなかった、何か理由があるはずです。

頭の数字=売上が固まらないと、あとの数字が全く意味のないものになってしまいます。ここは細かくピッチリとチェックしましょう。

次に見るべきは、尻の数字、税引き前当期純利益です。尻と言っても、下から3番目ですが・・

サンプルでは、法人税等の額が入っていますが(理由はあとで出てきます)、通常、毎月の月次決算で法人税額までは計算しませんので、お尻の数字は税引き前当期純利益になります。

頑張って売上を上げても利益が出なければ意味がありません。ちゃんと黒字になっているか、この数字が会社の結論です。

黒字になっていないのであれば、売上を増やすか、経費を削るか、どちらかが必要です。会社の方向性を決める重要な数字ですので、必ず毎月確認してください。

それともう一つ、会社の税金(法人税)はこの税引き前当期純利益の額を基に計算します。

厳密に税金を計算すると大変なので、おおむね税引き前当期純利益の30%が税金になると考えてください。

この税金の目安が毎月見えてますと、決算で「こんなに税金高いの!」と驚くことがなくなります。あまりに多額の税金が見込まれるのであれば、投資を前倒しするなど、経費出しを検討してもよいでしょう。

何があっても、売上総利益率(粗利率)はチェック!

売上総利益(粗利)とは、売上から仕入(原価)を引いて計算します。

 1,000 - 600 = 400

売上総利益率は売上に対する比率ですから、

売上総利益 ÷ 売上 = 400 ÷ 1,000 = 40%

と計算します。

なぜ、この比率が重要なのでしょうか?

売上とは、あなたの会社がお客さまに提供した、モノ、サービスの総和で、
仕入(原価)とは、お客さまに提供すべき、モノ、サービスの調達費用です。

提供したモノ、サービスから、その調達費用を差し引いた金額は、
お客さまに提供した価値の総和と言えます。

たとえば、

八百屋さんが大根を80円で仕入れて、100円で売る

提供したモノ→大根
提供した総和→100円

調達費用→80円

売上総利益 20円 = 提供した価値

この売上総利益20円の意味は、「この八百屋の大根はどこよりも新鮮でおいしい」など、
選んでもらえる理由と言えます。

提供する価値の最大化は、会社経営の大きな目標の一つで、それを測る指標が、
売上総利益率(粗利率)です。

この売上総利益率(粗利率)が毎月変動しているとすると、会社の提供する価値が
ブレている可能性があります。

売上総利益率(粗利率)の変動には、十分注意してください。

減価償却費を戻して、簡易キャッシュフローの確認

最後は減価償却費です。

減価償却費は支出を伴わない費用と言われますが、正確には、過去の支出の費用配分です。

耐用年数5年の備品を250で購入した場合、250を5年間で費用とします。

仕入代金ですと、売上代金を回収して、その中から支払うという事なりますが、
備品250は過去にすでに支払い済みであるため、今月の売上代金の中から支払う必要が
ありません。

今月の売上代金の中から支払う必要のない費用となりますので、
今月の現金収支を考えた場合、減価償却費の分だけ、現金が浮いてきます。

先にご紹介した、税金の概算を考慮して、当期純利益の額に減価償却費を足し戻すと、
今月自由になる現金の目安が見えてきます。

借入金の元金の返済は、この今自由になる現金の中から、返済していきますので、
このバランスには十分に注意してください。税金の概算額30%を考慮しないと、
税金が払えなくなってしまいますので、こちらも注意してください。

経理の書類はなにかと、ごちゃごちゃしていて、見ずらいものです。

ポイントだけはしっかり押さえてください。