還暦で起業もありかも

私の仕事

起業は若者の特権ではない

確定申告の準備で打ち合わせが続いています。

この時期だけのお付き合いの方もいらっしゃるので、久々に顔を合わせてよもやま話で盛り上がりました。

その中で、「実は、近い将来起業を考えているんだよね」とのお話を頂きました。

 

ギョッとしました。

 

なぜなら、その方は某一部上場企業の部長職の方で、定年(60歳)間近の方だったからです。

その方とのお付き合いは、給与と証券投資に掛かる確定申告のご相談で、去年までは「定年になったら、子会社に出向して、65歳ぐらいで引退かな、あまり無理もしたくないし」などと話をしていました。

それが一年後に再会してみると、起業を考えているとのお話だったので、びっくりしました。

確定申告が終わった後、事業計画を詰める約束をして、その場は終わりました。

その後、別の方との打ち合わせが続いたのですが、相次いで50代の方から2件か起業の相談を受けました。

起業と言いますと、AIに代表される最新技術を用いた、若者の特権のようなイメージがありました。実際、起業の相談に来る方は、皆さま年下でした。

 

今までになかった変化です。

人生をコントロール

起業を考えている皆さまの事情は様々なのですが、

 

①独立すれば時間に自由が利く

②「70歳現役で働く時代」などと報道されているが、会社の人事体系が全く対応していない。動くなら今しかない

③長年の勤務でスキルも経験も人脈がある

④退職金を含めて、ある程度金銭的に余裕がある。

 

総じて、「人生を自分でコントロールしたい」という思いを感じました。

若い方の起業のような、「夢を語る」、「世の中を変える」、「ビックチャンスを掴む」というような話ではなく、もう少し現実的な話で、「切実な事情」と「残りの人生でやりたい事」が50:50ぐらいのイメージです。

起業するのに必要な4つの要素「目的」「動機」「機会」「資金」

起業をするにあたり、必要な要素が有ります。「目的」「動機」「機会」「資金」の4つです。

これをあてはめてみると、

①「目的」 → 時間に自由が利く

起業する業種にもよりますが、基本的に時間は自由になります。

サラリーマンでは得られない特権です。リスクもすべて負うことになりますが、自分んで時間をコントロールできることの魅力は大きいです。

目的は様々でしたが、趣味の時間の確保、この先の生き方、共通するのは「自分で残りの人生をコントロールしたい」、これを達成するには、起業しかない。

これが結論でした。

②「動機」 → 会社組織が対応していない。

これが一番切実だと感じました。

70歳まで働けと言われても、組織が機能していない、中途半端な形で放り出されるリスクが高い。年金もどうなるか分からない。働きたくても働けない。そうなると、どうやって生活の糧を得るのか、不安が大きい。今なら、自分で動いて、働ける環境を自分で作ることができる。

もう一つ環境を変えざる得ない動機として、親の介護の問題。

介護問題を解決するには、時間か、お金か、もしくは、そのバランスを取るか、この3点しかありません。

自分の時間を割いて介護するか、お金で施設に頼むか、または、時間と支出のバランスを考えるか

このままでは、家族と収入と介護のバランスが取れずに、生活が崩壊するしてしまう、バランスを取るためには自分で働き方を変えるしかない。自分にも当てはまる切実な動機でした。

③「機会」 → スキル、経験、人脈がある

これは、年長者の特権かもしれません。

起業というと、「世の中にない新しいアイディアを実現する」というようなイメージが有りますが、実際にはそれだけではありません。既存のビジネスであっても、長年のスキル、経験、人脈でほんの少しだけ、やり方を変えれば立派なイノベーションになります。

起業のネタなので公表は出来ませんが、長年の経験と人脈で既存のビジネスの回し方を変える、こうやればもっと上手く回る、時間を掛けずに売り先を確保できるなど、さすが長い社会人経験だと感心しました。

④「資金」 → 退職金があり、多少余裕がある。

これも重要な要素です。

大半の方が、ほぼ子育てを終えており、資金的に余裕があり、かつ、退職金がある。長年の蓄積ですね。

起業において、資金繰りは最も頭の痛い問題ですが、開業資金は全額自己資金で賄える状況でした。

しかし、創業融資を受けることを勧めました。

開業資金の半分ぐらいを融資に切り替えれば、手元に資金を残すことができ、余裕が生まれます。これも長年の蓄積があったからこその話です。

 

還暦で起業もありか

こうしてみると、還暦に近い方が起業するのもありかと思いました。

本来、やりたい事、目的がはっきりしていれば、年齢は関係ありません。しかし、安定した環境を飛び出すには、かなりの勇気が必要です。

今回、感じたことは、定年に近い年齢の方が、今後の仕事、収入、時間の確保をどうすべきか考えたときに、会社ではなく、年金に頼るのではなく、自分でコントロールすることを選んだ事、それほどに変化する社会のスピードです。

70歳定年問題、年金問題、親の介護の問題、自分ではもう少し先の事と考えていたのですが、周りはもっと早いスピードで動いていて、少しのんびり構えすぎたと反省しました。

安定して見える環境に留まる事の方がリスクが高い。

残りの人生を自分でコントロールする、還暦に近い方が起業するのもありかもしれません。

 

ただ、起業には当然リスクが有ります。失敗して生活が破綻する可能性もあります。誰にでもお勧めできる訳ではありません。

 

今回、お話を頂いた方々を全力でサポートします!

 

 

 

 

 

私の仕事
明るい未来に貢献します。提案する税理士、実森順平です。