やりたい仕事ではなく、必要とされる仕事

税理士のしごと

「毎月、来てくるんだけれども、サッと書類を確認して20分ぐらいで帰っちゃうんだよね。」

 

ある方からのご相談で、税理士を代えたいそうです。

 

「何をしに来ているのか分からない」「毎月来てくれなくてもいいのに」

 

せっかく毎月訪問しても、何の成果もなく、顧問料が高いだけ。

 

「顧問料だけ払って、全然、訪問がない」

これも良く聞く税理士への不満ですが、毎月来ても料金と内容が見合っていなければ

やっぱり駄目ですね。

 

定型を押し付けていけない

毎月訪問して資料を回収、翌月に試算表を持参して、打ち合わせをする。

良くある税理士の顧問報酬のパターンです。

 

これをやるには、規模の大小にかかわらず、一定の時間と手間がかかります。

税理士の意見としては、

時間を掛けて、手間をかけるのだから、それなりの報酬を貰わないと困る。

確かにそうかもしれません。

 

しかし、そこにお金をかけることが、本当にクライアントにメリットがあるのでしょうか?

 

小規模な事業者の場合、毎月の変動はさほどありません。さして動きのない試算表を毎月見ても

「ふーん」で終わってしまいます。

 

決算に向けて、毎月、きっちり締めるめることは重要なのかもしれませんが、

小規模な事業者にとってはオーバースペックなように思います。

 

予算には限りがあります。

税理士として、毎月訪問して数字を固めなければならない。

でも、そこで考えなくてはならないことは、毎月数字を固めることが、クライアントにどんなメリットをもたらすかで、動きの少ない小規模な事業者においては、メリットは少なく、むしろ、それで顧問料が高いデメリットの方が大きいのではないでしょうか?

 

「税理士の仕事はこうゆうモノだ」

 

でも、それって、クライアントにとってメリットがあるのか?

最低限、税務上、問題のない申告書を作成する必要が有ります。

 

予算は無限にあるわけではありません。最低限の仕事を適切な低価格で提供することも考える必要が有ります。

 

私としては、半年で一度、経理を固めて上期の状況を報告、下期の展望をヒアリングする。

そのうえで、大まかな年間の税金予想額をお伝えするのが最低限と考えています。

 

方法を進化させる必要がある。

適切な税務申告書を作成するという、最低限の仕事は確保しつつ、そのやり方はクライアントの希望、予算に合わせて、柔軟に対応していく必要が有るかと思います。

 

「こうでなくてはならない」ではなく、「こうなれば、出来る」を考える必要が有ります。

 

1日24時間は皆、平等です。

 

投下できる時間とその報酬額のバランスには限界があります。

投下時間が大きくなりすぎれば、仕事をお受けすることができなくなりますし、

報酬額が大きくなりすぎれば、クライアントが離れていきます。

 

時間と報酬のバランスは常に重要です。

税理士は沢山います。この業界、競争は激しいです。

時間が大きくなりすぎて、バランスが取れていないのに無理をして安い報酬で受注する税理士はいます。

 

報酬に対して投下時間の大きい税理士はお得な税理士なのでしょうか?

 

短期的にはお得かもしれませんが、長期的には無理が祟って、サービスの質が保てなくなります。

決して、お互い幸せな結果にはなりません。それならば、税理士を変えれば良いだけかもしれませんが

 

ただ、バランスを取るための努力は必要です。

先月と同じ方法で仕事を進めていけば、今月も忙しいのは当たり前です。

 

便利な道具は沢山あります。いろいろと勉強をしなければなりません。

道具を上手く使うために、パスの出し方(資料の受け取り方)を変更してもらう必要が有るかもしれません。

紙を受け取るのではなく、データでの提出をお願いするなど、バランスをとるために常に進化が必要です。

 

進化に為には、お願いしなければならないこともあります。

進め方を変更するのは面倒くさいかもしれません。

でも、お互いのバランスを取るために、お付き合いいただければと思います。