税理士の仕事はサービス業

税理士のしごと

この業界で働きはじめて、20年近くたちます。

一番最初に就職した税理士事務所は、60歳近い所長と所長の奥さま、
従業員は私を含めて、3人の合計5人の事務所でした。

牧歌的だったと言いましょうか、非常にのんびりとしていて、
所長は「税理士は座っていれば仕事が来る、営業なんかするものではない。」と
常々、言っていました。

それどころか、飛び込みで相談にきたお客さまを追い返したりしていました。

今はそんな時代ではありません。

税理士の仕事は税金計算?

私は何かモノを作って販売している訳ではありません。

専門知識に基づくサービスを提供しいますので、間違いなくサービス業です。

より良いサービスを提供すべく、日々悩みます。
他の税理士より、良いサービスを提供してより多くのお客さまの支持を
得たいと考えています。

私は税法の専門知識に基づくサービスを提供します。
その税法は、税金の計算方法、計算手順を定めた法律です。

税理士は、税法に則って税金を計算します。

平たく言うと、「法律をよく読んで、その通りに計算してね。」という話です。

極論を言いますと、計算方法等が法律で示されており、その通りに計算する訳ですから、どの税理士であっても、同じ結果(同じ税金の額)になるはずです。

まあ現実的には、法律の改正についていけない、複数の計算方法が認められている場合、どれが最も有利(税金が安くなる)か検討しないなど、見たことはありますが・・

いずれにしましても、私の独自の見解で税金を計算しますと、おかしな事になります。

どこで差を付けるのか?

 税理士が税金を計算して、その結果(税金の額)が変わらないのでれば、
差は付きません。

どこで差を付けるのか、日々悩みますが、サービス業としての基本に立ち返るべきかと。

税理士業界に入る前、大学卒業後に2年ほど自動車販売の営業をしていました。
(ノルマが厳しくて、体を壊して辞めました)

辛くてあまり良い思い出はありませんが、営業職で良いことも学びました。

①元気よく挨拶する
②ハキハキ喋る
③車ではなく、自分を売る

①と②は言わずもがな、やはり人と接するときは、最初の挨拶は重要です、
ハキハキ喋らないと、何を言っているのか分かりません。

奥が深いのが③で、お客さまに車の案内をするのではなく、
自分自身をお客さまに売り込めとの事でして、お客さまが私の事を気に入ってくれれば、
話は前に進みます。

では、どうやって自分を売り込むかで、非常に難しいのですが、これはお客さまに喋っていただく事だと言われました。当時の上司から「お前がしゃべるな!」とよく怒られてました。

「自分を売れ」と言っておきながら、「お前がしゃべるな」と怒られる。
当時は全く意味が分からなったのですが、今にして思えば、お客さまに
気持ちよく喋ってもらい、ご希望を細かく聞き取れとのことだったのかなと思います。

お客様のご希望をキチンと把握できれば、自然に自分のことを気に入ってもらえるとの
教えだったのかなと。

車は色も形も大きさも違います。自分が何もしなくても、
お客さまの希望に沿う在庫があれば売れます。

税金の計算は同じ結果になる(はず)ので、そこだけでは売れません。
ご希望を細かく聞き取って、ご要望が把握できれば、調べることも企画を練ることもできますし、
自分で出来なければ、解決できる人を連れてくることもできます。

上から目線は論外ですが、下から目線もダメで、正面からお話をお伺いしないといけないなと改めて思いました。